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人生100年?

今日、わが国では人生100年時代といわれています。

織田信長は人間50年といい残しています。信長の時代から今までに、人体の構造が 進化したわけではありません。

中高年の死亡原因の第1位は悪性新生物、第2位は心疾患、第3位は脳血管疾患です。長生きするにはこれらの疾患を乗り越えていかなければなりません。

画像診断により、以前に認められなかった所見が出現した場合、速やかに対応することが必要です。血液検査により様々な病気も早期発見できるようにもなりました。時には、昔ながらの尿、便検査が画像診断や高度な血液検査にまさる場合もあります。

動脈硬化の原因になるメタボリック症候群が心配される場合には体質改善、食生活の改善が必要です。

遺伝が証明されている病気はさほど多くはありませんが、やはり『子は親に似る』というように親族の病気の傾向を知り、早めに対策をしていくことをお勧めします。

悪性新生物では肺がん、胃がん、大腸がんが多く認められ画像診断が有用です。肺がんはタバコが原因に大腸がんは大腸ポリープが原因となることがあります。

骨格筋の話

骨格筋のたくましい若者でも、年とともにおとろえていくことは当然です。歩くことができれば深層部の筋肉(傍脊柱筋、腸腰筋など)は年をとってもあまりおとろえません。これらの筋肉を維持するためには歩くことが最も適しています。少し身体を左右にゆさぶって歩くことが最も効果的です。

寝たきりにならないために

病気やケガでしばらく歩かないで寝たきりになってしまうと、身体を支える深層部の筋肉ばかりか腹部の筋肉(腹直筋、腹斜筋など)もおとろえてしまいます。

ベッドの上でコロコロと身体を左右に動かしたり、椅子に座って上半身を左右に動かしたりするだけで、これらの筋肉がおとろえることを防ぐことができます。また、臀部の筋肉が豊富にあると床ずれ(褥瘡)になりにくいと考えられています。

深層部の筋肉はインナーマッスルと呼ばれており、カロリー消費が多いため、これらの筋肉が発達している人は太りにくいといわれています。

脳卒中により片側の手足が不自由になった場合でも手足、胸部、臀部の筋肉はおとろえますが、深層部の筋肉はあまりおとろえず、姿勢やバランスをとるために重要な役割をはたしています。ベッド上でのストレッチや、椅子に座っての運動を忘れないでください。

突然死とメタボリック症候群

メタボリック症候群は、内臓脂肪型肥満に加え高血圧、糖尿病、脂質異常症のうち2つを合併した状態と定義されています。

男性でウエスト85cm以上、女性でウエスト90cm以上の場合には、腹部CT検査によるウエストラインのスライスで内臓脂肪が 100cm2 以上であることが多く、これらの人を内臓脂肪型肥満といいます。

メタボリック症候群は、脳卒中、心筋梗塞、大動脈瘤破裂などの突然死の原因となります。

同じウエストサイズの肥満でも内臓脂肪型(リンゴ型)肥満と皮下脂肪型(洋ナシ型)肥満があります。内臓脂肪は、内臓のまわりについている脂肪のことで、手でつかむことはできませんが、皮下脂肪は簡単に手でつかむことができる脂肪です。同じウエストサイズでも内臓脂肪型肥満か、皮下脂肪型肥満かを知っておくことが大切です。

内臓脂肪型肥満画像
内臓脂肪型(リンゴ型)肥満
皮下脂肪型肥満画像
皮下脂肪型(洋ナシ型)肥満

食事と運動・ダイエット

炭水化物は1gあたり4kcal、タンパク質は1gあたり4kcal、脂質は1gあたり9kcalのエネルギーになります。人間の脂肪の代謝は、1gあたり7kcalです。つまり、1kgダイエットするには、摂取カロリーよりも消費カロリーが7000kcal上回ることが必要です。このとき、皮下脂肪よりも内臓脂肪の方が先に消費されるため、ダイエットはメタボリック症候群対策に有効です。サウナや岩盤浴で汗をかいてダイエットしたと勘違いしてはいけません。汗をかくことは良いことですが、水分をしっかり補給してください。

食後の急激な血糖値の上昇は、動脈硬化を進行させます。野菜から先に食べるなど、血糖値を急激に上昇させない食べかたを知っておきましょう。

高血圧の話

私が生まれた頃は、年齢+90mmHgが血圧の正常 値といわれていました。二十数年前、私が医師になっ た頃は、160/90mmHg以上を高血圧と診断してい ました。しかし、現在75歳未満の血圧の正常値は、 130/80mmHg未満です。降圧目標は、75歳未満は 130/80mmHg未満、75歳以上は140/90mmHg 未満です。

上の血圧(収縮期血圧)は、心臓が収縮して血液を 拍出した時の圧力値です。下の血圧(拡張期血圧)は、 心臓が次に拍出するまでの間に血液を貯めるために拡 張している時の圧力値です。上の血圧は一瞬その圧力 が血管に加わりますが、下の血圧は持続的に加わって います。

いつも患者さんに「上の血圧が高いと血管が切れて、 脳出血をおこし、下の血圧が高いと動脈硬化が進んで しまう」と説明しています。

血圧を下げるには、ダイエット、適度な運動(ウォ ーキング)、減塩(1日7~10g)が大切です。

タバコ、大酒は禁物です。

75歳未満 130/80mmHg未満
75歳以上 140/90mmHg未満

正常値糖尿病の話

昔から甘い物を食べすぎると、糖尿病になるといわ れています。私たちの血糖値は、何も食べずに5時間 以上経過した空腹の時には110mg/dl未満が正常で、 食後2時間値であっても140mg/dl未満が正常です。 もし200mg/dl以上になるようであれば、あきらかに 糖尿病です。また、140mg/dl~200mg/dl未満の 人は糖尿病の傾向があるといえます。糖尿病は気づか ずに放置しておくと脳卒中になったり、失明したり、 腎不全になる恐ろしい病気です。

糖尿病の食事療法では、糖分、炭水化物を控えるこ とが大切です。食べすぎに注意し、運動不足を解消し て肥満を防ぎましょう。

血糖値は食後には高くなり、空腹時には低くなり変 動します。正確な診断をするには、グリコヘモグロビ ンA1c(赤血球に染み込んでいる糖分)をチェックし ましょう。

空腹時血糖値 70~110 (mg/dl)
グリコヘモグロビンA1c 4.6~6.2 (%)

恐ろしい低血糖の話

糖尿病治療ではグリコヘモグロビンA1cが6.3%未 満は優で、6.9%未満は良とされてきました 。7.0% 未満であれば、まず怖い合併症にはなりません。

血糖値が200mg/dl以上になっても倒れてしまう ことはありませんが、逆に血糖値が下がりすぎてしま うと、50mg/dl以下では意識が消失して、さらに低 下すると心停止をし、最悪死に至ります。

低血糖をおこす可能性のある薬を使用している場合、65歳以上75歳未満は7.5%未満、75歳以上なら8.0%未満が治療目標値です。これは加齢により肝臓で薬が分解されず、腎臓からも排泄されないために、薬が効きすぎてしまったり、血糖値をコントロールする能力もおとろえていることを考慮して低血糖を回避するための目標値です。75歳以上では下限値7.0% (65歳以上75歳未満は6.5%)がもうけられ、より安全に薬を調節していくことが大切です。たとえ意識消失や心停止に至らなくとも、血糖が下がりすぎて、ふらついて転倒し、骨折や脳外傷を負ってはなりません。

脂質異常の話

中性脂肪(トリグリセライド)やLDL(悪玉)コレ ステロールが多いか、または、HDL(善玉)コレステ ロールが少ない状態を脂質異常症と呼びます。

中性脂肪は体脂肪(皮下脂肪や内臓脂肪)が大量に あると多くなります。LDLコレステロールは、血管壁 にしみ込んで動脈硬化を進行させます。HDLコレステ ロールは、LDLコレステロールを掃除する役割があり 動脈硬化を防いでいます。

動脈硬化が進行すると血管壁が分厚くなります。 高血圧、糖尿病、脂質異常症をそのままにしておくと 血管の内にブヨブヨしたアブラかす(プラーク)が形 成されたり、血管壁に石灰化などがおこり、血管の内 腔が狭くなり硬いボロボロのもろい血管になります。

LDLコレステロールが高い場合には、かつては1日 のコレステロール摂取量を300mg以下におさえるよ うにいわれていました。しかし食事に含まれているコ レステロールは、体内で合成されるコレステロールの 20%程度であること、またコレステロール摂取を控 えると、かえって体内で合成されるコレステロールが 増加します。コレステロールや脂質は無理に制限せず、 過剰摂取を控えることが大切です。

脂質の成分である脂肪酸には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。 肉、バターなどに含まれている飽和脂肪酸はさほど有害ではありません。 不飽和脂肪酸の中で、すでにアメリカで使用が禁止されているトランス脂肪酸は動脈硬化に悪影響をあたえます。 青魚に含まれるDHA、EPA は動脈硬化を防ぎ、心筋梗塞や脳卒中の予防に役立つといわれています。HDLコレステロールを増やすにはウォーキングが有効です。

脳卒中と脳血管

脳の主幹動脈の狭窄、閉塞などの血流障害や、血管 壁の状態(ツルツル、ゴリゴリなど)をチェックして 対応することが必要です。クモ膜下出血の原因である 脳動脈瘤は、同じサイズでも動脈硬化があれば破裂し やすく高血圧、タバコは最大の危険因子です。脳卒中 にならないためには、動脈硬化を防ぐことが大切です。

命の水

年をとると若者と比べ身体の水分量は20%減ります。 渇きのセンサーもおとろえ水をガブガブ飲めなくなり、 水分の不足は脳梗塞や心筋梗塞がおこりやすくなりま す。夜寝る前にコップ1杯の水を飲みましょう。そし て朝おきたらすぐに、1杯の水を飲みましょう。

動脈硬化による無症候性(隠れ)脳梗塞

- 脳萎縮と認知症の話 -

メタボリック症候群に起因する動脈硬化は、脳卒中 (脳出血や脳梗塞など)の危険因子です。動脈硬化が 高度になると無症候性(隠れ)脳梗塞なども多く出現 します。また、脳は年とともに萎縮しますが、これは 老化現象であり仕方のないことです。

脳の萎縮は40歳を過ぎると画像診断でわかるよう になります。隠れ脳梗塞や脳萎縮の所見は、年ととも に目立つようになります。自分が年相応かどうかチェ ックしておくことが重要です。ただ萎縮しているから といって、能力がおとろえるとは限りません。脳には 充分な代償能力があり、むしろ日常使われている部分 の方が少ないともいわれています。

通常は大脳、海馬周囲ともに同程度に萎縮します。 海馬部分だけが著しく萎縮する場合は、アルツハイマ ー型認知症や、幻覚が出るレビー小体型認知症を疑い ます。また、急速に前頭葉と側頭葉が萎縮していき乱 暴な性格になる場合は、前頭側頭萎縮症を疑います。 その他ケガがもとでおこる外傷性認知症や、脳卒中後 に認知症(脳血管障害型認知症)になる場合もありま す。動脈硬化の進行を防いで脳卒中を予防することは、 認知症の予防にもなります。糖尿病であったり、安定 剤や睡眠薬を飲みすぎると認知症になりやすいといわ れています。

認知症の予防方法は散歩、お出掛け、お喋りです。

脊椎・脊髄の病気

脊椎に病気があると脊髄に障害を与え、知らずに放 置しておくと転倒などの軽度な外傷だけで四肢が麻痺 したり、命にかかわる重大な症状をおこす場合があり 危険です。手足がシビレたり、力が入りにくい場合は 脊椎、椎間板、脊柱管、骨化性病変や脊髄などもチェ ックすることが大切です。

病気でおこる首肩のコリ

首(頚椎)は7個の骨から構成されています。そして骨と骨の間には椎間板という軟骨が存在します。椎間板が飛び出し(椎間板ヘルニア)脊髄や神経を圧迫することがあります。また、この軟骨が変性して骨と骨の間隔が狭くなると手指への神経が出ていく穴が狭くなる椎間孔狭窄などの病変もおこります。このような異常事態が発生すると、まわりで支える筋肉がカチカチにコリ固まってしまいます。このコリや痛みには、頭や首を支えている筋肉の強化トレーニング(弛緩と収縮)をおこない筋肉の改善をはかることが重要です。

頭や首を支える筋肉には、深層部で支える筋肉と、表層部で支える僧帽筋などの筋肉があります。深層部の筋肉は毛細血管が豊富な赤い筋肉が多く、持久力に優れています、この赤い筋肉はじんわりと時間をかけて負荷を与えることで強化することができます。表層部の筋肉には、瞬発力は強いが、持久力に乏しく、疲労物質がたまりやすい白い筋肉が多くあります。この白い筋肉は短時間に強い負荷を与えることで強化することができます。

当クリニックでは、ストレートネックで肩コリのある方や、首の異常事態のある方にセルフトレーニングをお勧めしています。

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