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ドクターJの褥瘡講座

このドクターJの褥創(ジョクソウ)(床ずれ)講座は、看護・介護に従事しておられる方に、褥創(床ずれ)とは何かを解りやすく知って頂くために、また褥創(床ずれ)を予防するにはどのようにしたら良いかを知って頂くとともに、さまざまな褥創(床ずれ)に対する知見を紹介して行きます。

第2編

圧力以外の褥創(床ずれ)の発生原因について、生理学的な観点からアプローチしていきます。

1.褥瘡の悪影響因子について

褥瘡(床ずれ)の発生原因の第1は、力学(物理学)的要因であります。しかしこれ以外に、貧血・発熱・低酸素血症・低タンパク症・低アルブミン症・湿潤環境などが、悪影響を起こします。組織に対して、動脈血が酸素と栄養素を供給し、毛細循環をとおり組織に酸素と栄養素を供給、二酸化炭素や老廃物を受け取ります。この毛細循環の細動脈圧血圧は、32mmHgで、細静脈圧は15mmHg前後と言われています。細動脈圧以上の圧力が加われば循環は途絶、この状態が長時間続けば不可逆的ダメージを受けてしまいます。酸素は、血液中のヘモグロビンと結合して、組織に酸素を運搬します。その際、組織との酸素分圧較差により、物理学的拡散の法則(つまり多い方から少ない方へといった具合に)で供給されます。貧血により、この酸素の運びてのヘモグロビンが少なくなってしまうことは、悪因子になります。もちろん肺炎などで低酸素血症が起こることも悪因子です。
網細血管と組織との酸素供給は、図のような円柱状の組織モデルで示されます。つまり遠くなればなるほど少なくなるので、低タンパクや低アルブミンにより、浮腫が生じ血管からの距離が伸びれば酸素供給は、不十分となり悪因子となります。また、発熱すると組織の酸素必要量が増加するので、相対的な酸素不足となります。このため発熱は悪因子です。また、約20mmHgほどの圧力であっても、動脈血は到達しても静脈血が戻って行く流れを妨げる圧力であれば、静脈潅流障害によって円柱の中心を流れていく血流は、うっ滞している間に、酸素が欠乏した血流になってしまうため、悪因子になります。
これらの機序を理解しながら、圧力以外の悪因子に対しても注意しましょう。
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